駆動方式

エンジンの搭載位置や、駆動輪としてパワーを伝えるタイヤの位置によって、大きく分けると５つの駆動方式があります。 それぞれに長所と短所があり、電子制御の発達のより様々な制御が可能な為、どの方式が「優れている」または「劣っている」等は一概には決めれませんが、基本的な事を説明します。

	ＦＦ	フロントエンジン・フロントドライブの略で、エンジンが前にあり前輪を駆動させる方式です。現在ではこのFF車が主流となっています。 メリットは、FFは駆動に関する部分を前方に集中できる為、部品点数が少なく、車内も広く設計しやすく安価に製造できます。 デメリットは、重量物が前方に集中する為、カーブでは前方に遠心力がかかり、外側に膨らむアンダーステアになりやすい傾向があります。 その分、後輪が外に膨らみスピンする可能性が低く、直進安定性が高くなります。 同じタイヤで駆動と操舵を行う為、駆動力によりハンドル操作に影響が出やすく、高出力の車には向かない面があり、中小型車に多く採用されています。 欧米では、FWD（フロント・ホイール・ドライブ）と呼ばれます。
	ＦＲ	フロントエンジン・リアドライブの略で、エンジンが前にあり、プロペラシャフトを通して後輪を駆動させる方式です。 メリットは、重量物を前後に分散する事により重量バランスが取りやすく、ハンドル操作による操蛇力と、エンジンによる駆動力を分散できる為、それぞれ無理なく力を伝える事が出来ます。 その為ハンドル操作に影響が出る事なく、大パワーにも対応しやすいので、高級車やスポーツタイプの車に採用される事が多いです。 デメリットは、プロペラシャフト等の部品点数が増える為、その為のスペースが必要になり、室内スペースが犠牲になります。 また、価格が高くなりやすいので、中小型車には不向きで、最近FR車は世界的に減少しています。 欧米では、RWD（リア・ホイール・ドライブ）と呼ばれます。
	ＭＲ	ミッドシップエンジン・リアドライブの略で、エンジンは前後のタイヤの間（車軸の間）にあり、後輪を駆動させる方式です。 メリットは、重量物が車の中央にくるため前後のバランスが非常に良く、フロントがかるいため回頭性に優れ、FR同様にハンドル操作による操蛇力と、エンジンによる駆動力を分散でき、それぞれ無理なく力を伝える事が出来ます。 この為ハンドル操作に影響が出る事なく、大パワーにも対応しやすいのが特徴です。 デメリットは、エンジンスペースに乗車空間や荷室を取られる事で、MRを採用する車は、ほぼ２シーターのスポーツカーに限られます。 なお一般的には、MRは後ろの車軸と運転席の間にエンジンを設置する車種を指しますが、前の車軸と運転席の間にエンジンを設置し、フロントミッドシップと名乗る車種もあります。 さらにフロントミッドシップの中にはFFモデルも存在し、その場合はFFミッドシップと名乗っています。 また有効床面積を最大限に確保する為、大型バス、小型トラック、ミニバンの中には、車室の床下にエンジンを設置し、後輪を駆動する車種を存在します。 この場合には差別化の為、「アンダーフロアエンジンレイアウト」と呼ばれる場合があります。
	ＲＲ	リアエンジン・リアドライブの略で、エンジンを最後方（後車軸より後）に設置し、後輪を駆動させる方式です。 メリットは、FR同様にハンドル操作による操蛇力と、エンジンによる駆動力を分散でき、それぞれ無理なく力を伝える事が出来ます。 また後輪にかかる重量が大きい為、タイヤを路面に押し付ける力が大きく、トラクション能力に優れています。 デメリットは、後部分に重量が偏るので、カーブでは後側に強い遠心力がかかる、オーバーステアになりやすい傾向があります。 MR同様、乗車スペースや荷室は限られます。
	４ＷＤ	フォー・ホイール・ドライブ（four=4 Wheel Drive）の略で、AWD「All Wheel Drive（オール・ホイール・ドライブ）」とも呼ばれます。 乗用車からスポーツカーまで、多くの車種に採用されている駆動方式です。 その為エンジン搭載位置は、フロントからリアまで多種多様になっており、4WDの制御方法も目的によってまったく違うものとなっています。 基本的には、荒れた路面、滑りやすい路面など悪路に強く、高出力でも４つのタイヤを通じて、最大限に路面にパワーが伝わるので安定して走る事が出来ます。 弱点としては、部品点数が増える為、重くなり価格も高くなります。また小回り性能が低いとされています。

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